カーソン・グッドオール
ノットアーティスト。自らをアーティストとは名乗らず、「ノットアーティスト(Not Artist)」という肩書のもとで活動している。カーソン・グッドオールは「ノットアート(Not Art)」と呼ばれる、アートであることを意図しない行為やオブジェクトを制作し、それをあえて作品として提出する。このような実践を通して、鑑賞者に「アートとは何か」「作品とは何か」という根源的な問いを突きつける。このような反芸術的姿勢は、20世紀以降のコンセプチュアル・アートやフルクサス、またマルセル・デュシャンの「レディメイド」などの系譜とも接続しうるが、カーソンはあくまでもそれらを参照することすら慎重に避ける立場をとる。カーソン・グッドオールの試みは、アートの制度的な輪郭、鑑賞者の期待、作家性の役割といった構造的問題を攪乱しながら、それでもなおどこかで「アートであること」をめぐる問いを浮上させてしまうという、逆説的な企てである。

Not Art
カーソン・グッドオール
2025
デジタル
サイズ可変