私たちは、社会という見えない織物の中で生きています。その織物は、物質、行為、身体、時間が複雑に絡み合いながら絶えず編み直されています。
ここでは、それらが織りなす「全体的社会的事実」に目を向ける必要があります。
クロースアップで抽象的に映し出された写真、手で油絵の具をアクション的に描いた絵画、複雑に絡まった縄を解くパフォーマンス、そして千年ワークショップの理念、これら異なる表現形式は、それぞれが全体的社会的事実を映し出す断片であり、同時にその再構築を目指す試みであります。
この章は、時間、物質、行為、そしてそれらが絡み合う関係性を探る実験の場です。抽象的な写真が物質の細部を記録し、アクションペインティングが身体の痕跡を残し、縄を解くパフォーマンスが関係性の再構築を象徴し、千年ワークショップが未来へと続く長大な時間の共有を提示しています。
ここで触れているのは、断片のみではなく、すべてが織りなす全体の可能性なのです。
近松行之助
造形作家。主にひもや糸などを複雑に結んだ造形物をつくり、解こうとする行為を鑑賞者に体験させるような経験までも含んだ制作物のシリーズや自身で長い縄を解こうとするパフォーマンスなどを制作している。主なパフォーマンスに、2024年「うあーパフォーマンスフェスティバル vol.5」(福島)、「トノサマバッタのハッピーバースデーパーティーについて行った!」Maebashi Works(群馬)など。



Untitled
近松行之助
2024
縄
サイズ可変
photo: 稲口俊太
てりやき
写真家。路上などを観察しながら、具象的な被写体がクロースアップなどによって、抽象的に見える構図を意識しながら撮影している。主な展示に、2023「Fluffy Society」KOGANEI ART SPOT シャトー2F(東京)、2024「おおくぼ」callbox(東京)「Teriyaki Omnipresence」Curry Rice Gallery(オンライン)など。主なパフォーマンスに、2024「うあーパフォーマンスフェスティバル vol.5」白河市街地(福島)など。

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てりやき
2024
デジタル
サイズ可変

Untitled
てりやき
2024
デジタル
サイズ可変

Untitled
てりやき
2024
デジタル
サイズ可変

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てりやき
2024
デジタル
サイズ可変

Untitled
てりやき
2024
デジタル
サイズ可変
吉田浩次朗
画家。主に油彩を使用し、手を利用した行為と色彩性に着目した抽象的な絵画制作を行なっている。主な展示に、2023年「行為と色彩」JUNGLE GYM(東京)など。

Untitled
吉田浩次朗
2023
キャンバスに油彩
サイズ不明
photo:稲口俊太

Untitled
吉田浩次朗
2023
キャンバスに油彩
サイズ不明
photo:稲口俊太

Untitled
吉田浩次朗
2023
キャンバスに油彩
サイズ不明
photo:稲口俊太
福岡壱海
パブリックアーティスト。2024年12月29日活動開始。ここでいうパブリックとは、福岡壱海という名義を誰でも使用することができるというパブリックな権利である。福岡壱海は、人間の身体は実在せず、名義のみが実在し、様々な人物の一時的な仮の名義として機能する。主な活動に、資本主義のサイクルに影響を受けるアートマーケット的発想ではなく、数十年、数百年、数千年先の未来に思いを馳せ、千年以上続くような対話や制作を行おうとするワークショップである千年ワークショップを主催している。

千年ワークショップ
福岡壱海
2024〜
ワークショップ
ロゴデザイン:中村悠一郎