平面であるはずのその表面には、無限の可能性が潜んでいます。

形と色が織り成すその世界は、ただ一方向的に読むものではなく、私たちが見るたびに新たな意味を立ち上げる場となることでしょう。

絵はその本質において平面であります。

紙やデジタル上で描かれた線や色彩は、空間を仮想的に作り出しつつも、その表面性を超えることはありません。しかし、この平面性こそが、鑑賞者に自由を与えるのです。

絵には明確な始まりも終わりもなく、見る者の解釈に応じて、無限の解釈の余地を与えることができます。

ミヒャエル・エンデの物語世界と同じように、絵の中に広がる時間は、効率や目的に縛られるものではありません。

さらに、絵の平面性は、時間の無限性と密接に結びついています。絵が物理的には静止したものであっても、私たちがそれを鑑賞する行為の中で、時間は無限の広がりを持つのです。

この章では、絵が持つ平面性とその中に秘められた無限の時間性、そして鑑賞者に与える自由を探ります。時間の流れが制約を受ける現代社会の中で、絵は自由な視線と無限の時間を取り戻すための場となり得ることでしょう。


Y・N

アーティスト。非言語的な造形感覚として、線やパターンが変化する有様を描写したようなドローイングを制作している。また、ドローイングは通常の販売というかたちの他にも販売した金額を震災や戦争の被災者へ寄付するチャリティや、交換や寄贈というかたちなど様々な方法によって流通させている。主な展示に、2022年「第2回藁工アンパンArt BAZAR」藁工ミュージアム(高知)、2023年「Fluffy Society」KOGANEI ART SPOT シャトー2F(東京)、「仙台アンデパンダン展」Gallery TURNAROUND(宮城)、2024年「becoming」TINGOO GALLERY(南京、中国)、「石巻のキワマリ荘 常設展2024」GALVANIZE gallery(宮城)、「ちっちゃい美術展」芸宿(石川)、「仙台アンデパンダン展」ギャラリーチフリグリ(宮城)、「CHICHAI」Brasserie Pain Liquide(パリ、フランス)、「救済?」GALVANISE gallery(宮城)、「イノビエンナーレ2024」いの町紙の博物館(高知)など。主なパフォーマンスに、2024年「うあーパフォーマンスフェスティバル vol.5」白河市街地(福島)「トノサマバッタのハッピーバースデーパーティーについて行った!」Maebashi Works(群馬)など。

無題

Y・N

2024

紙、ペン

29.7cm×42cm

無題

Y・N

2024

紙、ペン

29.7cm×42cm

無題

Y・N

2024

紙、ペン

29.7cm×42cm


金沢ユウマ

意味性を排除した文字のみによるコンクリートポエトリーを制作し、デジタル作品や印刷物として制作している。

無題

金沢ユウマ

2024

デジタル

29.7cm×21cm

無題

金沢ユウマ

2024

デジタル

29.7cm×21cm

無題

金沢ユウマ

2024

デジタル

29.7cm×21cm


メジェド・O

アーティスト。メジェドとは、エジプト神話に出てくる「死者の書」に登場する謎の神であり、光線を放つ存在として描かれている。それとはあまり関係ないが、自身のiPhoneに蓄積する写真や画像をフォトショップによって消しゴムツールや透明度、色相や彩度を変えたりしながらコラージュを制作している。

Untitled

メジェド・O

2024

デジタル

29.7cm×21cm

Untitled

メジェド・O

2024

デジタル

29.7cm×21cm

Untitled

メジェド・O

2024

デジタル

29.7cm×21cm

第二章 想像力としての時間性