遊びは、与える者と受け取る者の区別を曖昧にし、贈与を共同のプロセスへと変えます。

積み木を協力して積む行為、グラフィックアートを自由に解釈する体験、脱構築された彫刻を鑑賞することで新たな意味を生み出す過程、これらはすべて、贈与が遊びを通じて再構築される瞬間を表しているともいえそうです。

ここでの贈与は、一方的な行為ではなく、遊びを通じて再編される関係性そのものです。与えることが受け取ることと混じり合い、創造と共有が交錯する空間の中で、贈与は可能性を開きます。これは完成された贈り物ではなく、常に生成され続ける未完成の贈与です。

そして、他者と共に形を生み出し、壊し、再び編み直す無限のプロセス。

贈与とは、単に何かを「与える」行為ではありません。それは、関係を編み直し、共有することで生まれる新たな可能性を指し示す行為であるのです。


サム・ライト

グラフィックアーティスト。主にグラフィックデザインのツールを用いながら、それらのツールをデザインという目的のための手段ではなく、スペシフィックなメディウムとして捉えて、遊びながら作品を制作している。主な展示に、2023年「Fluffy Society」KOGANEI ART SPOT シャトー2F(東京)、2024年「Patterns」Curry Rice Gallery (ポストカード配布場所各所)など。主なパフォーマンスに、2024年「マジック・マジック・サンシャイン?どんなスニーカーも空を飛ぶ」O CHA NO MA(福島)など。

CP

サム・ライト

2023

紙にオフセット印刷

21cm×14.8cm

photo:稲口俊太

installation view:KOGANEI ART SPOT シャトー2F


青山陽平

アーティスト。木でできた積み木で様々な小さな建造物をインスタレーションとして制作している。積み木を積むことは、バランス感覚を意識しながら、相互の関係性も意識し、それでも崩れかけるリスクを背負う、ある種の祈りにも似た行為だと認識している。石巻での展示では、鑑賞者が自由に積み木を構築することができるインスタレーションを発表した。主な展示に、「救済?」GALVANISE gallery(宮城)など。

Cooperation

青山陽平

2024

サイズ可変


竹下脩三

アーティスト。ミニマリズムの影響を受けながら、それに反発する形として、主に木材を使用しながら、様々な構造体をインスタレーションとして展開している。主な展示に、2023年「Fluffy Society」KOGANEI ART SPOT シャトー2F(東京)「構造体-4」JUNGLE GYM(東京)、2024年「構造体-5」callbox(東京)など。

構造体-4

竹下脩三

木、ビス

サイズ可変(インスタレーション)

photo:稲口俊太

Installation view:JUNGLE GYM

第四章 多次元的な力